ムロアジとは?ムロアジ
 他ではあまり馴染みの無い魚かもしれませんが伊豆地方では最もポピュラーで、ここ下田でも地元の方には真アジよりも人気があるんです。ムロアジは10月頃から脂がノリ始め干物にするのに絶好のシーズンに入ります。伊豆の故郷の味、ムロアジ。万宝のムロアジは干し方にちょっとしたヒミツがあるんです。


塩水に漬けたムロアジを干し台で天日干し干し始め
万宝自慢の塩たれに漬けたムロアジを干し小屋で天日干しにします。ムロアジは真アジなどに比べて身が柔らかく実はとってもデリケートな魚なんです。開いて塩に漬ける間にも少しずつほろほろと身の表面が崩れていってしまいます。これは避けられない問題です。
ですから万宝ではツヤのある滑らかな表面に仕上げる為、手で“なでなで”してから干し始めるんです。


父から教わった美味しくなるおまじない一枚ずつ身を撫でます
 
ムロアジを両手で包み込むように撫でます。力を入れすぎず一定のリズムで。この時一番大切なのは「おいしくなーれ、おいしくなーれ」と心をこめること。干し上がった時にきれいな飴色になるのが理想。ムロアジのシーズンはこれから冬にかけて。冷たい空の下凍りそうな手で冷たいムロアジをササッと撫でた私に父の言葉、「急いで撫でると身がボロボロになって旨さが逃げる、心の中でゆっくり“おいしくなーれ”と唱えるんだ、こうすると身が締まって美味しくなる。」だそうです。

この作業、(息子担当!)暖かいときはいいんですがピューピューと北風が吹く年の瀬頃が一番たいへんなんです!手がちぎれるほど寒い中1枚ずつ丁寧に。ときどきおいしくなれこのやろーーー、ってなりながら干してます。でも、そんな寒風の中干し上げたムロアジは本当に美味しいんです。


店主も大好きなムロアジの魅力ムロアジを干す
 ムロアジはまさに伊豆のソウルフード。みんなが子供のころから食べている庶民の味です。くさやの原料にもなるように硬くてクセのある魚ゆえ初めて召し上がる方には少し抵抗があるかもしれません。ですがよくかみ締めることによって深い味わいと特有の香りや食感を楽しめます。
当店にいらっしゃったお客様に召し上がって頂くと「噛むほどに旨みがあっておいしー」とファンになる方が多くいらっしゃいます。

ただ塩に漬けて干すのではなく、手間ひまかけた仕事をすることにより生まれる飴色のヒミツ。是非一度ご賞味あれ。

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